国際理解教育でつける「力」とは1 
 

 メールいつもありがとうございます。また、モアメールの参加をうれしく思いま
す。これから楽しみです。
 今年度も5年担任となりました。そして、旧年度に引き続き、4クラスある中の学
年主任となりました。
 さて、次年度のことについて教えていただきました。

> 次年度は、念願の研究主任になれそうです。
> 勤務校の次年度の研究テーマは
> 「総合的な学習・国際理解」です。
> 県の指定を受けています。

 最近、「サークル通信」でこれに「関係したこと」を書きました。以下に紹介しま
す。何かの参考になればと思います。(若干修正を加えました)
 ちなみに、私の勤務する奄美小学校は、一昨年度から「国際理解教育」を研修の柱
の一つにすえている学校です。

奄美教育サークル通信   2000年 3月18日(土)
  名瀬市立奄美小学校 徳田 洋広   No.63

今年度、サークルで模擬授業を3回行った。
 その3回とも、「環境」についての授業であった。
 
  1 「水が危ない」の授業(総合学習)
  2 「地球が危ない〜水の汚れ〜」(総合学習)
  3 「森林〜森林のはたらきと森林を育てる工夫〜」(総合学習と関
   連させた社会科学習)

 以上のように一貫して「環境」の授業を行った。このように一貫して「環境」の授
業を行ったのには、理由がある。次の通りである。

  1 略
  2 略
  3 奄美小学校は、「国際理解教育」を研究の柱にしている学校であ
   る。「環境」の学習は、この「国際理解教育」と深く関わりを持つ。
    「総合学習」〜「環境」の学習〜「国際理解教育」
    このような図式でじっくりと扱っていくのに大変価値のある内容で
   ある。

 私が行った3回の授業のどれもが、単元の内容を規定する・方向付けする「導入」
の部分の授業であった。三つともが自分が教材開発したオリジナルの授業であった。
 来年度から始まる総合学習について、先生方のヒントになったのであろうか。授業
作りや教材開発の仕方のヒントになったであろうか。

 さて、「『環境』の学習は、『国際理解教育』と深く関わりを持つ」と書いた。概
括的な言い方で、その意味するところは分かりにくい。
 そこで、このことについて以下に詳しい説明を加えたい。
 「説明を加える」のは、そこに大切な事柄が含まれているからである。サークルの
先生方に「価値ある情報」を提供できると考えるからである。

 教育課程審議会答申の中に次の記述がある。

  国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること

 これは、「教育課程の基準の改善のねらい」の中で述べられている言葉である。い
わば「国際理解教育」に関わる記述である。
 「日本人としての自覚を育成する」ではなく、「国際社会に生きる日本人としての
自覚を育成する」という言い方で言っている。

 国際社会に生きる日本人

 このように言うとき、この「日本人」はどのような人間のことを言うのだろう。当
面、次のように定義しておく。

  地球全体の視野に立って、「ものを考え」、「人と接し」、「行動できる」 

人間のこと

 別な観点から言うと次のようになる。

  「地球人」として、これから先、いかに考え、いかに人と付き合い、い
 かに行動していけばよいか

 このような思考で行動できる人間のことを、「国際社会に生きる日本人」としてお
こう。
 このような「日本人」を今後育成していく必要があるのである。
 
 では、このような「日本人」を育成するにはどうすればいいのか。言い換えれば、
どのような資質や能力身が付くと、このような「日本人」になるのか。
 次のように考える。

 1 地球規模で起こっている環境問題について知っている。(知ろうとす
  する)
 2 異国の文化や生活習慣を理解している。(理解しようとする)
 3 異国の人とコミュニケーションしようとする態度や、コミュニケーショ
  できる能力を身に付ける。   
 4 自分の国の歴史や文化、伝統を理解している。(理解しようとする)
 5 自分のことを知り、相手のことも理解しようとする態度や、理解でき
  る能力を身に付ける。

 例えば、上のような資質や能力が身に付いたときの日本人のことを、「国際社会に
生きる日本人」と定義しておこう。
 上に書いた五つは、いわば「国際社会に生きる日本人」としての必要条件である。
また、先に書いた「思考」と「行動」ができるためのそれを支える要素である。
 同じ星に生きる「地球人」として、例えば上のような能力や資質を身に付けていく
ことが今後一層必要となってくる。
 このように考えるのは、今後ますます国際化が進展し、環境問題などが深刻になっ
ていくと思うからである。
 人同士・モノ同士の交流が「地域レベル・国内レベル」でなく「地球レベル」まで
となり、環境問題の深刻性が「地球規模」にまでなっていくからである。

 ここまで述べてきて、「総合学習〜環境の学習〜国際理解教育」の関係がはっきり
してきた。
 「環境の学習」は、国際理解教育を支える学習の一つである。上に述べたような意
味でこの二つは関連している。
 これを意識して「総合学習」を考え、全体の指導計画を作成していくと総合学習全
体が有機的につながっていく。
 また、教育課程審議会答申の言う「国際社会に生きる日本人としての自覚を育成す
ること」という、基準の改善のねらいにもつながっていく。
 
 また、「国際理解教育」を「『地球人』を育てる」教育と定義づけると、「国際理
解教育」が総合学習全体を覆うことになっていく。総合学習全体をくくることのでき
る教育となっていく。

 以上のことを箇条書きにまとめる。
 
 

 
※ ここでページが切れました。続きはその2で。
戻る トップへ

戻る トップへ
次へ
次へ